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エイジフレンドリーガイドライン

エイジフレンドリーガイドライン

えいじふれんどりーがいどらいん

監修:平康慶浩(セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役|グロービス経営大学院客員准教授。人事コンサルタントとして30年以上、等級・報酬・評価制度の設計に携わる)

エイジフレンドリーガイドラインとは、高年齢労働者の労働災害を防止し、安全と健康を確保するために事業者および労働者が取り組むべき事項を示した厚生労働省のガイドラインである。正式名称を「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」といい、2020年(令和2年)3月16日付けで策定された。事業者に対しては、実施可能な労働災害防止対策に積極的に取り組むよう努めることが求められる。

背景・時事文脈

ガイドラインは厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署によって示されたもので、高年齢労働者の身体機能の低下に対応し、労働災害の防止と休業の長期化の抑制を目的としている(エイジフレンドリーガイドライン本文)。

事業者に求められる取組は次の5つに整理されている。

安全衛生管理体制の確立 — 経営トップによる方針表明と体制整備、危険源の特定等のリスクアセスメントの実施

職場環境の改善 — 照度の確保、手すりの設置、階段の段差解消といったハード面の対策と、作業スピードの調整や休憩の導入といったソフト面の対策

健康・体力の状況の把握 — 定期健康診断の実施に加え、体力チェックを継続的に行うよう努める

健康・体力の状況に応じた対応 — 個々の労働者の状況に適合する業務のマッチング、健康保持増進措置の実施

安全衛生教育 — 高年齢者を対象とする教育での時間の確保と写真・図・映像の活用、管理監督者への教育

高年齢労働者の安全と健康の確保は、労働安全衛生法の改正の文脈でも取り上げられている(厚生労働省「労働安全衛生法の改正について」)。

改正の内容と施行期日は同ページの資料で確認を要する。

人事制度設計上の論点

このガイドラインは安全衛生の枠組みで示されているが、実務上は高年齢層の役割と処遇の設計と切り離せない。

第一に、業務のマッチングを誰が判断するかである。

ガイドラインは個々の労働者の健康・体力の状況に適合する業務への配置を求めているが、これは事実上、高年齢層の職務内容を個別に設計するということである。

役割等級制度を採用している場合、役割の縮小が等級の変更を伴うのかを制度上で整理しておかないと、同じ状況の労働者に異なる処遇が生じる。

第二に、役職定年および定年後再雇用の設計との接続である。

役職を外れた後の役割が定義されていない組織では、前提となる標準的な役割が存在しないため、健康状態に応じた業務の調整も判断できない。

第三に、管理職の役割定義である。

ガイドラインは管理監督者への安全衛生教育を求めている。

高年齢の部下の健康状態に配慮した業務配分は管理職の職責であり、等級制度における役割記述と人事評価制度に反映されていなければ実行されない。

第四に、在職老齢年金などの制度変更との重なりである。

就業継続を前提とした処遇設計と業務内容の調整は、一体の課題として扱う必要がある。

なお、具体的な措置の実施義務の範囲や個別の判断については、専門家への確認が必要である。

より深く読む

年齢を重ねた社員の能力をどう活かすかという設計の考え方については、平康慶浩による論考『40代後半で転職できるプロ人材を増やすことが会社を伸ばす』で詳しく解説している。