ストレスチェック義務化拡大
すとれすちぇっくぎむかかくだい
監修:平康慶浩(セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役|グロービス経営大学院客員准教授。人事コンサルタントとして30年以上、等級・報酬・評価制度の設計に携わる)
ストレスチェック義務化拡大とは、2025年5月公布の改正労働安全衛生法により、これまで努力義務だった常時使用する労働者50人未満の事業場にも、ストレスチェック(心理的な負担の程度を把握する検査)の実施が義務付けられる制度改正である。 施行は公布後3年以内の政令で定める日とされている。
背景・時事文脈
ストレスチェックは2015年に50人以上の事業場で義務化されたが、精神障害の労災支給決定件数が増加を続ける中、事業場規模による保護の差が課題とされてきた。
2025年5月14日公布の改正法により全事業場への拡大が確定し、遅くとも2028年までに施行される。
50人未満の事業場については、産業保健体制の負担に配慮し、労働基準監督署への実施報告義務を課さない方向で運用の詳細が整理されており、厚生労働省が中小規模事業場向けの実施マニュアルを公表している。
施行日を定める政令・省令の動向には引き続き注意が必要である。
人事制度設計上の論点
ストレスチェックの拡大は、健康管理の義務対応にとどまらず、組織マネジメントの設計に接続して初めて意味を持つ。
第一に、集団分析の活用である。
部署別のストレス傾向を把握し、高ストレス部署の業務量・人員配置・管理職のマネジメントを点検する材料とすることで、要員計画や職務設計の改善サイクルに組み込める。
第二に、管理職の役割定義の論点である。
部下のストレス要因の早期把握と業務調整を管理職の役割・行動評価に位置づけるかどうかで、チェックが「年1回のイベント」で終わるかが分かれる。
第三に、離職・エンゲージメント指標との統合である。
ストレスチェックの結果を、離職率・従業員サーベイと併せて人的資本の経営指標として扱う設計が検討される。
なお、実施体制(実施者の確保・外部委託)や不利益取り扱いの禁止など運用の詳細は、厚生労働省のマニュアルと専門家への確認が必要である。
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