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就業規則の不利益変更

就業規則の不利益変更

しゅうぎょうきそくのふりえきへんこう

監修:平康慶浩(セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役|グロービス経営大学院客員准教授。人事コンサルタントとして30年以上、等級・報酬・評価制度の設計に携わる)

就業規則の不利益変更とは、就業規則を変更することによって、労働者の労働条件を従前より不利益に変更することをいう。 労働契約法は、労働者の合意なくこれを行うことを原則として認めておらず、例外的に変更後の労働条件によることができる要件を定めている。

背景・時事文脈

労働契約法第9条は、労働者と合意することなく就業規則を変更して労働条件を不利益に変更することを、原則として認めていない。

一方、同法第10条は、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ変更が①労働者の受ける不利益の程度、②労働条件の変更の必要性、③変更後の就業規則の内容の相当性、④労働組合等との交渉の状況、⑤その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的である場合に、変更後の労働条件によることを定めている。

就業規則の作成・変更手続に関する解説は厚生労働省が公表している。

人事制度設計上の論点

制度改定が等級の引き下げや手当の廃止を伴う場合、この枠組みの検討が必要になる。

第一に、経過措置(調整給)の設計期間である。

期間を長く取るほど新制度の効果発現が遅れ、短く取るほど不利益の程度が大きくなるという緊張関係がある。

第二に、原資の再配分と総額人件費である。

一部の層の減額分を他の層の増額に充てる設計では、総額が変わらないことをもって不利益がないとは言えず、個々の従業員への影響を把握しておく必要がある。

第三に、等級と報酬を同時に改定する場合の合理性の説明である。

等級要件の変更が処遇へどう波及するかを整理し、協議の経過を記録しておくことが求められる。

なお、退職金や家族手当のように長期の生活設計に関わる項目は、不利益の程度が大きいと受け止められやすく、賃金テーブルの組み替えとは別の説明を要する。

制度改定の目的、代替となる処遇、経過措置の内容を一体で提示できるかが、実務上の焦点となる。

より深く読む

組織統合に伴う階層・役職の再設計と処遇変更の実務については、平康慶浩による論考『組織・役職統合の実務──PMIで階層設計と役職定義を一本化するための3つの論点』で詳しく解説している。