エンゲージメントサーベイ
えんげーじめんとさーべい
監修:平康慶浩(セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役|グロービス経営大学院客員准教授。人事コンサルタントとして30年以上、等級・報酬・評価制度の設計に携わる)
エンゲージメントサーベイとは、従業員が組織や仕事に対して抱く自発的な貢献意欲や結びつきの状態を、質問票によって定量的に測定する調査である。 処遇や職場環境への満足度を問う従業員満足度調査に対し、貢献意欲の強さと方向を捉えようとする点に特徴がある。
背景・時事文脈
従業員エンゲージメントは、内閣官房等が公表する人的資本可視化指針において、開示が想定される項目のひとつとして扱われている。
有価証券報告書における人的資本開示でも、企業が任意に示す指標として用いられる場面がある。
また、人的資本に関する情報開示のガイドラインである ISO 30414(International Organization for Standardization 30414)でも、組織風土・エンゲージメントに関する指標が扱われている。
組織状態を内部で把握する道具であると同時に、外部への説明材料としての性格を併せ持ちつつある。
人事制度設計上の論点
第一に、サーベイ結果を管理職の評価項目に組み込むことの是非である。
組織状態への責任を明確にする効果がある一方、部下による回答を直接の評定材料とすれば、短期的な迎合や回答への働きかけを誘発しうる。
第二に、スコアを目標管理の目標値に置いた場合の歪みである。
指標が目標になると測定そのものが操作の対象となり、組織の実態を映さなくなる。
第三に、等級要件への反映である。
マネジメント等級の要件に組織開発の責任を明記するのであれば、サーベイは評定の根拠ではなく、対話と改善行動を起こす起点として位置づける設計が検討対象となる。
第四に、実施の頻度と匿名性の扱いである。
集計単位を小さくするほど職場ごとの課題は見えやすくなるが、回答者が特定されうる状態では率直な回答が得られにくい。
集計の最小単位をどこに置くかは、結果を人事評価にどこまで結びつけるかという前段の判断と表裏の関係にある。
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エンゲージメントが何によって動くのかという行動経済学の視点については、平康慶浩による論考『なぜ昇給よりも手当が刺さるのか——「それ、会社に騙されてない?」への行動経済学の答え』で詳しく解説している。