同一労働同一賃金
どういつろうどうどういつちんぎん
監修:平康慶浩(セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役|グロービス経営大学院客員准教授。人事コンサルタントとして30年以上、等級・報酬・評価制度の設計に携わる)
同一労働同一賃金とは、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)等に基づき、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間の不合理な待遇差を禁止する枠組みである。 大企業は2020年4月、中小企業は2021年4月から施行されている。
背景・時事文脈
2026年4月28日に厚生労働省告示第202号・第203号が公布され、いわゆる同一労働同一賃金ガイドライン(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針)の見直しが2026年10月1日に施行される。
家族手当・住宅手当・退職手当・夏季冬季休暇・無事故手当などで「問題となる例/問題とならない例」が追加され、賞与や病気休職の記載も充実した。
あわせて省令改正により、雇入れ時の明示事項に、待遇の相違の内容および理由等の説明を求めることができる旨が加わる(厚生労働省)。
人事制度設計上の論点
第一に、家族手当・住宅手当・通勤手当の支給要件を「正社員だから」という理由で説明してきた企業は、各手当が何に対する支給かという目的の再定義が必要になる。
第二に、目的を説明できない手当については、廃止して基本給に統合する選択肢があるが、その場合は労働条件の不利益変更の論点を伴う。
第三に、退職手当や賞与の待遇差は、等級制度上の責任の範囲や成果責任の違いとして説明できる設計になっているかが問われる。
処遇差の根拠を等級要件に落とし込めていない場合、制度文書そのものの見直しが必要になる。
第四に、雇入れ時の明示義務に対応するため、人事・労務の実務プロセスと説明資料の整備を進める検討が求められる。
より深く読む
手当と昇給が従業員の納得感に与える影響の違いについては、平康慶浩による論考『なぜ昇給よりも手当が刺さるのか——「それ、会社に騙されてない?」への行動経済学の答え』で詳しく解説している。