住宅手当
じゅうたくてあて
監修:平康慶浩(セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役|グロービス経営大学院客員准教授。人事コンサルタントとして30年以上、等級・報酬・評価制度の設計に携わる)
住宅手当とは、従業員の家賃や住宅ローンなど住宅にかかる費用を補助する目的で支給される手当である。 家賃補助とも呼ばれる。現金支給の手当のほか、社宅・借り上げ社宅など現物給付型の住宅支援と並ぶ選択肢の一つである。
背景・時事文脈
厚生労働省「令和2年就労条件総合調査」によれば、住宅手当などの制度がある企業の割合は47.2%である。
都市部の家賃上昇が続く中、初任給引き上げ競争と並行して、若手従業員の可処分所得を直接支える施策として住宅手当を再評価する動きがある。
一方で、職務と無関係な属人給を縮小するジョブ型人事制度の潮流とは方向が逆であり、企業の報酬哲学が問われる手当となっている。
人事制度設計上の論点
住宅手当は「全員一律の福利」から「戦略的な傾斜配分」への転換が論点となる。
第一に、支給対象の設計である。
若手層・都市部勤務者・転居を伴う異動者などに対象を絞ることで、限られた原資で採用競争力と定着効果を高める設計が検討される。
等級が上がれば給与本体で住居費を賄えるという整理をとるなら、一定等級までの限定支給という設計判断もありうる。
第二に、現金支給の住宅手当と借り上げ社宅制度では税・社会保険料の取り扱いが異なるため、同じ原資でも従業員の手取りと会社負担が変わるという論点がある。
具体的な扱いは要件により異なるため専門家への確認が必要である。
第三に、リモートワーク下で勤務地と居住地の関係が多様化しており、地域手当や通勤手当を含めた「働く場所に関する手当」全体の再設計の中で位置づける必要がある。
より深く読む
住宅手当が採用競争の武器へ変わってきた経緯と設計論については、平康慶浩による論考『給与項目の今昔「住宅手当」 — 家賃補助から採用競争の武器へ』で詳しく解説している。