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総額人件費管理(労働分配率)

総額人件費管理(労働分配率)

そうがくじんけんひかんり(ろうどうぶんぱいりつ)

監修:平康慶浩(セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役|グロービス経営大学院客員准教授。人事コンサルタントとして30年以上、等級・報酬・評価制度の設計に携わる)

総額人件費管理とは、賃金・賞与だけでなく、法定福利費・退職給付費用・採用費・教育研修費などを含む、企業が人に対して負担する費用の総額を把握し、統制する管理手法である。 その負担水準を測る代表的な指標が労働分配率であり、付加価値に占める人件費の割合として表される。

背景・時事文脈

継続的な賃上げが求められる一方、人件費はいったん引き上げると下げにくいという性質を持つ。

このため、賃上げの判断を単年度の支払能力ではなく、総額人件費の中長期的な推移で捉える必要性が高まっている。

労働分配率は、財務省「法人企業統計調査」などで用いられる付加価値の考え方に基づいて算出されるが、付加価値の定義は調査や算式によって異なる。

自社の数値を外部の指標と比較する際には、分母と分子の算定根拠をそろえたうえで解釈する必要がある(財務省)。

人事制度設計上の論点

第一に、昇給や賞与の原資を「率」で決めると、要員構成の変化によって総額が想定外に膨らむという論点がある。

同じ率であっても、人員数と等級構成が変われば総額は変わる。

第二に、制度設計にあたっては、十年程度の人員構成シミュレーションと総額人件費の推移をセットで検証する必要がある。

等級別の滞留年数と昇格率を置いて試算しなければ、賃金テーブルの改定が将来の総額に与える影響は見えない。

第三に、労働分配率の目標値を単独で置くと、業績変動時に賃上げの判断が硬直するという論点がある。

第四に、基本給の引上げは法定福利費や退職給付債務にも波及するため、基本給・賞与・手当のいずれで還元するかという配分の判断が必要になる。

とりわけ退職給付制度を持つ企業では、基本給の改定が将来の債務にどう影響するかを、制度改定の意思決定の時点で試算しておく必要がある。

より深く読む

原資の決め方と配分の経営判断については、平康慶浩による論考『賃上げの基準を「率」で決めてはいけない|原資と配分の経営判断』で詳しく解説している。

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