目標管理制度(MBO)
もくひょうかんりせいど(えむびーおー)
監修:平康慶浩(セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役|グロービス経営大学院客員准教授。人事コンサルタントとして30年以上、等級・報酬・評価制度の設計に携わる)
目標管理制度(MBO:Management by Objectives and Self-control)とは、組織目標と連動した個人目標を期初に設定し、期末に達成度を本人と上司が確認することで、業務の遂行と人材育成、人事評価を一体的に運用する仕組みである。 日本では人事評価制度の枠組みとして定着している。
背景・時事文脈
経営学者ピーター・ドラッカーが示した経営管理の考え方に由来する。
原語に含まれる「自己統制(self-control)」が示すとおり、本来は上位者が目標を割り当てるための仕組みではなく、働き手が自ら目標を定め、その達成に向けて自らを律することを重視する概念であった。
日本では成果主義的な処遇制度の導入が広がる過程で、個人の業績を測る評価の枠組みとして普及した。
その結果、目標が上位から一方的に割り当てられ、達成度がそのまま評価点となるノルマ管理の手段として運用される例も見られる。
制度の形式ではなく期初の目標設定における対話の質が成否を分ける点は、今日も変わらない。
人事制度設計上の論点
目標管理制度の設計は、目標の質をどう担保し、評価と報酬にどう接続するかの問題である。
第一に、目標の難易度をそろえる論点がある。
難しい目標を掲げた者ほど達成度が低くなる構造を放置すれば、容易な目標設定を誘発する。
難易度の申告と評価者間の目線合わせを運用に組み込み、達成度から評価点への変換ルールを明示する必要がある。
第二に、組織目標のカスケードである。
全社・部門の目標を分解して個人目標に接続する経路を設計しなければ、個人の努力が組織成果に結びつかない。
第三に、達成度と賞与の接続方法である。
達成度を機械的に賞与額へ換算すると、期初の目標設定が処遇交渉の場に変質する。
定量目標の比重、行動評価との組み合わせ、等級ごとに期待する目標水準の差を制度上定義しておくことが望ましい。
第四に、期中の環境変化への対応である。
事業計画が変わった際の目標修正の申請ルールと承認権限を定めておかなければ、期末に形骸化した目標が残る。
より深く読む
目標を通じて測るべき貢献の設計については、平康慶浩による論考『貢献を測る指標の設計——全社・役員・管理職・プレイヤーの4層で考える』で詳しく解説している。