OKR
おーけーあーる
監修:平康慶浩(セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役|グロービス経営大学院客員准教授。人事コンサルタントとして30年以上、等級・報酬・評価制度の設計に携わる)
OKR(Objectives and Key Results:目標と主要な結果)とは、達成したい状態を示す定性的な目標(Objectives)と、進捗を測る定量的な指標(Key Results)を組み合わせ、短い周期で運用する目標設定の枠組みである。 全社から個人までの目標を可視化し共有する点に特徴がある。
背景・時事文脈
半導体企業のインテルで生まれ、グーグルをはじめとするテクノロジー企業を通じて広く知られるようになったとされる。
日本でも、事業環境の変化が速く年次の目標設定では追随しにくい領域を中心に関心が高まった。
目標管理制度(MBO)との相違は、原則として報酬決定に直結させないこと、四半期などの短い周期で設定して高い頻度で進捗を確認すること、確実に達成できる水準ではなく意欲的な水準の目標設定を前提とすることにある。
目標を組織内に公開し、上位目標との整合を全員が確認できる状態に置く運用も特徴とされる。
人事制度設計上の論点
OKRの導入は、既存の評価・報酬制度とどう併存させるかの設計問題に帰着する。
第一に、報酬に連動させないという原則を制度上どこまで貫くかである。
OKRの達成状況を賞与配分の材料に用いた時点で、意欲的な目標を掲げる前提は崩れる。
評価制度は別に維持し、OKRは目標の共有と進捗管理の仕組みと位置づける切り分けが現実的である。
第二に、評価点との整合である。
あえて高い水準を掲げ、すべてを達成しないことを許容する設計と、基準への到達度を点数化する絶対評価の考え方は相容れない。
併存させるなら、評価上の目標とOKRを別立てで管理する必要がある。
第三に、周期のずれである。
四半期で回すOKRと、年次で確定する等級・昇給の判断は時間軸が異なるため、期中の記録をどう昇格判断に持ち込むかを定めておく。
第四に、運用負荷である。
既存の目標管理制度を残したままOKRを追加すれば、現場は二重の目標設定と面談を抱える。
どちらを主とするかの意思決定を避けたまま導入すべきではない。
より深く読む
目標を通じて測るべき貢献の設計については、平康慶浩による論考『貢献を測る指標の設計——全社・役員・管理職・プレイヤーの4層で考える』で詳しく解説している。