1on1
わんおんわん
監修:平康慶浩(セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役|グロービス経営大学院客員准教授。人事コンサルタントとして30年以上、等級・報酬・評価制度の設計に携わる)
1on1(ワンオンワン)とは、上司と部下が定期的に一対一で行う短時間の対話の場であり、業務の進捗確認ではなく、部下の経験の言語化と成長支援、信頼関係の構築を主な目的とするものである。 高い頻度を保ち、部下のための時間として設計される点に特徴がある。
背景・時事文脈
米国のテクノロジー企業の人材マネジメント手法として紹介され、日本でも管理職の育成行動を仕組み化する手段として広がった。
従来の面談が、期初の目標設定と期末の評価結果の伝達という年に数回の公式な場であったのに対し、1on1は短い間隔で継続的に行われる。
背景には、事業環境や職務内容の変化が速く、年数回の面談では部下の状況を把握しきれないという実務上の要請がある。
人事評価のフィードバック面談とは目的も頻度も異なり、両者を区別しないまま運用すると、部下にとっては評価される場となり、率直な対話が成立しにくくなる。
人事制度設計上の論点
第一に、評価面談との関係の整理である。
分離すれば率直さは保たれるが管理職の時間負担は増え、統合すれば対話が評価の説明に傾く。
何を評価面談で扱い、何を1on1で扱うかを制度文書で線引きしておく必要がある。
第二に、実施回数や実施率を管理職の評価指標に置くことの是非である。
指標化すれば実行は担保されるが、回数の消化が目的化しやすい。
指標に置くのであれば、対話の中身ではなく機会の提供を評価している旨を明示すべきである。
第三に、管理職の時間資源である。
一人の管理職が直接見る部下の人数(スパン・オブ・コントロール)を踏まえずに全社導入すれば、形式的な実施に終わる。
要員配置と組織階層の設計と併せて検討する論点である。
第四に、育成の位置づけである。
部下の育成を管理職の役割定義と等級要件に明記し、行動評価の項目として処遇に反映させなければ、1on1は個々の管理職の善意に依存した取り組みにとどまる。
より深く読む
対話の入り口の設計が部下の思考に与える影響については、平康慶浩による論考『『管理』から『自律支援』へ—1on1の最初の10秒が、部下の思考モードを変える』で詳しく解説している。