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退職金

退職金

たいしょくきん

監修:平康慶浩(セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役|グロービス経営大学院客員准教授。人事コンサルタントとして30年以上、等級・報酬・評価制度の設計に携わる)

退職金とは、労働者の退職に際して使用者から支払われる一時金または年金形態の給付である。 法律上当然に支払義務が生じるものではなく、就業規則・退職金規程等の定めによって支払義務が発生する。退職一時金、退職手当、退職給付とも呼ばれる。

背景・時事文脈

厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」によれば、退職給付(一時金・年金)制度がある企業の割合は74.9%で、5年前調査の80.5%から低下した。

同調査では、大学卒(管理・事務・技術職)の定年退職者1人平均退職給付額は1,896万円である。

終身雇用を前提とした功労報償としての性格が薄れ、確定拠出年金(DC)への移行や退職金前払い制度の導入など、雇用流動化に対応した再設計が進んでいる。

人事制度設計上の論点

退職金は「長期勤続への報酬」から「報酬戦略の一部」へと位置づけの再定義が求められている。

第一に、算定方式の論点がある。

退職時基本給×勤続年数係数という伝統的方式は、基本給改定のたびに退職金債務が変動するため、等級・評価に応じてポイントを積み上げるポイント制退職金への移行が制度改定の定番論点となる。

第二に、中途採用比率が高まる中で、勤続年数に強く傾斜した給付カーブが中途入社者に不利に働き、採用競争力を損なうという論点がある。

第三に、退職金の一部前払い化(月例給与・賞与への振り替え)は、若手への訴求力を高める一方、税・社会保険料の扱いが変わるため、労使双方の手取りへの影響について専門家への確認が必要である。

等級制度・賃金カーブの改定と切り離して退職金だけを見直すと、総報酬としての整合を欠きやすい。

より深く読む

退職金の歴史的変遷と再定義の設計論については、平康慶浩による論考『給与項目の今昔「退職金」 — 長く勤めた証から、人生設計と報酬戦略の再定義へ』で詳しく解説している。

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