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範囲給(レンジ給)

範囲給(レンジ給)

はんいきゅう(れんじきゅう)

監修:平康慶浩(セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役|グロービス経営大学院客員准教授。人事コンサルタントとして30年以上、等級・報酬・評価制度の設計に携わる)

範囲給(レンジ給)とは、等級ごとに給与の下限額と上限額からなる幅(レンジ)を設定し、その範囲内で評価や市場水準等に応じて個別に給与を決定する仕組みである。 等級ごとに単一の金額を定めるシングルレートと対置される、給与構造の基本形式の一つである。

背景・時事文脈

物価上昇と人材獲得競争を背景に、号俸表による細かな刻みの管理から、市場相場と評価に応じて柔軟に給与を決められる範囲給への移行を検討する企業が増えている。

範囲給は欧米企業の報酬管理では標準的な構造であり、等級を大括り化して広いレンジを設定するブロードバンド化の流れの中で発展してきた。

日本では、ジョブ型人事制度や役割等級制度の導入とあわせて採用されることが多い。

人事制度設計上の論点

範囲給の設計品質は、幅・重なり・運用ルールの三点で決まる。

第一に、レンジ幅の設定である。

ミッドポイント(レンジ中央値)を市場相場と自社ポリシーから定め、上下に何%の幅を持たせるかを決める。

幅が広すぎると等級の意味が薄れ、狭すぎると昇格以外で昇給余地がなくなる。

第二に、隣接等級間のオーバーラップ(重なり)の設計である。

重なりが大きいほど昇格の金銭的インセンティブは弱まるため、等級制度の昇格運用と一体で決める必要がある。

第三に、レンジ内での昇給配分ルールである。

評価結果とレンジ内位置(コンパレシオ)を組み合わせた配分表を用いれば、同じ評価でもレンジ上限に近い者の昇給を抑制し、原資を市場水準未達の層へ振り向けられる。

上限到達者の扱い(昇給停止・賞与での還元・昇格候補化)をあらかじめ定めておくことが、運用開始後の紛れを防ぐ。

より深く読む

号俸表から範囲給への移行の設計論については、平康慶浩による論考『号俸表の時代は終わる ── ベースアップと査定昇給の「二本立て」が限界を迎えている』で詳しく解説している。

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