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インセンティブ報酬(営業インセンティブ)

インセンティブ報酬(営業インセンティブ)

いんせんてぃぶほうしゅう

監修:平康慶浩(セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役|グロービス経営大学院客員准教授。人事コンサルタントとして30年以上、等級・報酬・評価制度の設計に携わる)

インセンティブ報酬とは、特定の行動や成果を促す目的で、通常の賃金に加えて支給される報酬である。営業職に対する成果連動の支給を指して営業インセンティブと呼ぶことが多い。歩合給が賃金体系そのものの一部であるのに対し、インセンティブは奨励を主目的とする点に違いがあるが、賃金として支払われる以上は労働基準法の規律を受ける。

背景・時事文脈

インセンティブが賃金に当たる場合、支払い方には法令上の制約が及ぶ。

茨城労働局「労働基準法のあらまし(賃金支払いの原則、出来高払制)」が示すとおり、賃金は通貨で、全額を、直接本人に、毎月1回以上、一定の支払日を決めて支払わなければならず、法定で認められたもの以外を控除することはできない。

支給条件を会社の裁量に委ねすぎると、支給の有無をめぐる争いにつながる。

成果に連動する部分を設ける場合の水準についても、目安が示されている。

厚生労働省「歩合給制とはどのような制度ですか?」(スタートアップ労働条件)は、出来高払制について「通常の実収賃金と余りへだたらない程度の収入が保障されるように」保障給を定めるものとし、割増賃金の単価は成果部分を含めて算定期間の総労働時間で除して算出するとしている。

インセンティブを毎月の賃金として支給する設計では、割増賃金の計算基礎に含まれるかどうかを確認する必要がある。

個別の判断については専門家への確認が必要である。

人事制度設計上の論点

第一の論点は、何に対して支払うかである。

受注額に連動させると、値引きしてでも件数を取る動機が生まれる。

粗利や継続率に連動させれば質は保たれるが、成果が確定するまでの期間が延び、支給が遅れて実感が薄れる。

営業以外の職種が関与して成立した案件をどう扱うかも、設計段階で決めておかないと、部門間の不公平として残る。

第二に、既存の報酬項目との重複である。

賞与(業績連動賞与)で全社業績に報い、インセンティブで個人成果に報いるという整理をしないまま両方を運用すると、同じ成果に二重に支払う構造になる。

総額人件費管理の枠のなかで、それぞれが占める割合を決めておく必要がある。

第三に、廃止・変更の難しさである。

インセンティブは受け取る側にとって既得の収入となるため、制度を縮小する場合は就業規則の不利益変更の論点が生じる。

導入時に、業績や事業構造の変化に応じて見直す旨と、その手続をあらかじめ定めておくことが実務上の要点になる。

より深く読む

営業インセンティブの見直し方については、平康慶浩による論考『営業インセンティブ設計の見直し方』で詳しく解説している。

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