サクセッションプラン(後継者計画)
さくせっしょんぷらん(こうけいしゃけいかく)
監修:平康慶浩(セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役|グロービス経営大学院客員准教授。人事コンサルタントとして30年以上、等級・報酬・評価制度の設計に携わる)
サクセッションプラン(後継者計画)とは、経営者や重要ポジションの後継者候補をあらかじめ特定し、計画的な育成と選抜を通じて後継を準備する仕組みである。 個別の後任指名にとどまらず、候補者の要件定義、育成機会の配分、進捗の監督までを含む一連の運用を指す。
背景・時事文脈
2026年7月21日、金融庁および東京証券取引所は、2021年以来5年ぶりとなるコーポレートガバナンス・コード(2026年改訂版)を確定・公表した。
従来の3層構造は基本原則4+原則26の計30に整理され、補充原則は廃止、基本原則と一部の原則に解釈指針が付された。
上場会社は遅くとも2027年7月31日までに、改訂コードに関する事項を記載したコーポレート・ガバナンス報告書を提出することとされている。
改訂前のコードでは、補充原則4-1③が、取締役会は最高経営責任者(CEO:Chief Executive Officer)等の後継者計画の策定・運用に主体的に関与し、後継者候補の育成が計画的に行われるよう監督すべきとしていた。
人事制度設計上の論点
第一に、対象範囲の設定である。
CEOの後継に限るか、事業責任者や専門領域の中核ポジションまで含めるかで、必要な候補者層の厚みと育成期間が変わる。
第二に、要件定義と等級制度の接続である。
後継者に求める要件を役割等級の上位等級要件と切り離して定義すると、日常の評価・昇格運用と選抜が別系統で走ることになる。
第三に、育成機会の配分である。
候補者に与える困難な職務経験や異動は当面の業績評価を不利にしうるため、評価の期間設定や報酬上の取り扱いを整理しておく検討が必要になる。
あわせて、役職定年や専門職制度との関係で、選に漏れた層の処遇をどう設計するかという論点も残る。
後継者計画は対外的な説明の対象にもなるため、社内の運用実態と開示内容の整合を点検しておく必要がある。
より深く読む
次世代リーダーの育成を研修だけに頼らない設計については、平康慶浩による論考『スキル研修だけでは足りない——次世代リーダー育成に「機会提供」の軸が必要な理由』で詳しく解説している。