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賃金カーブ

賃金カーブ

ちんぎんかーぶ

監修:平康慶浩(セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役|グロービス経営大学院客員准教授。人事コンサルタントとして30年以上、等級・報酬・評価制度の設計に携わる)

賃金カーブとは、年齢または勤続年数の経過に伴う賃金水準の変化を曲線として表したものである。 賃金プロファイルとも呼ばれる。企業の賃金制度が従業員のキャリアを通じてどのように報いるかを示す、報酬設計の基本概念である。

背景・時事文脈

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」では年齢階級別の賃金が毎年公表されており、日本の一般労働者の賃金は中高年期にピークを迎える右肩上がり型が典型とされてきた。

しかし近年は、初任給の大幅な引き上げによって若年層の賃金水準が急速に切り上がる一方、中高年層の伸びは抑制され、カーブ全体のフラット化・前倒しが進んでいる。

中途採用の拡大により、年齢と賃金の対応関係そのものが崩れつつあることも、カーブの再設計を促す要因となっている。

人事制度設計上の論点

賃金カーブの再設計は、限られた原資を「いつ、誰に」配分するかという経営判断である。

第一に、生涯賃金の総額を大きく変えずに配分時期を前倒しする設計(若手の立ち上がりを急にし、中高年期の傾きを緩やかにする)は、採用競争力の確保と人件費総額の管理を両立させる定番の論点である。

ただし移行期には中堅層の昇給期待とのギャップが生じるため、経過措置と説明の設計が不可欠となる。

第二に、カーブの形状を年齢ではなく等級で説明できるようにするという論点がある。

等級要件と昇格運用に裏づけられたカーブは、同一労働同一賃金や定年後再雇用者の処遇説明にも耐える。

第三に、在職老齢年金の支給停止基準引き上げなどシニア就労の環境変化を踏まえ、60歳以降の下り坂をどの水準・傾きで設計するかが、シニア人材の活用戦略と直結する。

より深く読む

賃上げ原資の決め方と配分の経営判断については、平康慶浩による論考『賃上げの基準を「率」で決めてはいけない|原資と配分の経営判断』で詳しく解説している。

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