深い軸を持ったゼネラリスト
ふかいじくをもったぜねらりすと
監修:平康慶浩(セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役|グロービス経営大学院客員准教授。人事コンサルタントとして30年以上、等級・報酬・評価制度の設計に携わる)
深い軸を持ったゼネラリストとは、セレクションアンドバリエーション(代表・平康慶浩)が提唱する概念で、市場価値のある専門性の深い「軸」と、経営全体を捉える視座という「次元」を併せ持つ、第三のキャリア人材像である。 「浅く広く」の従来型ゼネラリストとも、専門領域に閉じるスペシャリストとも異なる、専門性×経営視座の統合を指す。
背景・時事文脈
ジョブ型雇用の広がりとAIの進化により、特定の専門性を持たないまま社内異動の経験だけを積んだ従来型ゼネラリストの市場価値は低下している。
一方で、専門性だけでは経営の意思決定を担えない。
専門性がなければAI時代の意思決定で勝てず、視座がなければ専門家のまま終わる──この二つを統合できる人材こそが、ジョブ型時代の幹部候補になるというのが本概念の主張である。
T字型・π型人材と重なる面もあるが、専門の「深さ」を軸に、経営視座という「次元」を加える点に力点がある。
人事制度設計上の論点
深い軸を持ったゼネラリストの育成は、キャリアパスと等級制度の設計問題である。
第一に、異動設計の転換である。
数年おきの無定見なローテーションではなく、まず一つの専門領域で市場価値のある深さをつくり、その軸を持ったまま経営視座を獲得する越境経験(事業企画・子会社経営・部門横断プロジェクト等)を計画的に配置するという論点がある。
第二に、等級制度上の位置づけである。
管理職コースと専門職コースの二者択一の複線型では、この第三の人材像は等級要件のどちらにも収まらない。
専門性の深さと役割の大きさを両方評価できる等級要件の設計が求められる。
第三に、幹部候補の選抜・登用基準に「専門軸の有無」を組み込むかどうかは、次世代経営人材のサクセッションプランの設計判断となる。
より深く読む
この概念の提唱と背景にある7つの環境変化については、平康慶浩による論考『ゼネラリスト vs スペシャリストはもう古い ― 勝つのは「第三の人材」』で詳しく解説している。