相互投資型人事制度
そうごとうしがたじんじせいど
監修:平康慶浩(セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役|グロービス経営大学院客員准教授。人事コンサルタントとして30年以上、等級・報酬・評価制度の設計に携わる)
相互投資型人事制度とは、セレクションアンドバリエーション(代表・平康慶浩)が提唱する概念で、企業が従業員の成長に投資し、従業員が企業の価値創造に投資するという双方向の投資関係を、等級・評価・報酬の制度として設計する人事制度の考え方である。
背景・時事文脈
終身雇用を前提とした「会社への滅私奉公と引き換えの生活保障」という関係は既に成立せず、一方で処遇を市場価格だけで決める純粋な取引型の関係は、人材の定着と企業固有の能力蓄積を損ないやすい。
相互投資型人事制度は、この二項対立を超える第三の関係として位置づけられる。
理論的な裏付けとして、雇用関係における暗黙の期待を扱う心理的契約と、特定の企業でこそ価値を発揮する企業特殊的人的資本の研究蓄積がある。
人事制度設計上の論点
相互投資の関係を制度に落とすには、投資の中身を双方に見える形にする必要がある。
第一に、企業側の投資の可視化である。
育成機会・挑戦機会の提供を等級ごとのキャリアパスとして明示し、教育投資を個人別に示すことで「会社は自分に投資している」という認識が成立する。
第二に、従業員側の投資を評価する仕組みである。
短期の成果だけでなく、社内知識の共有・後進育成・組織能力の構築といった企業特殊的な貢献を評価項目としてどう扱うかという論点がある。
第三に、報酬設計では、市場水準への追随(外部公平性)と、長期の相互投資に報いる仕組み(昇格・退職金・長期インセンティブ)のバランスが設計判断となる。
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