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インタビュー

人事制度改革を通じた企業成長の推進 〜評価制度の見直しと社員エンゲージメントの向上〜

サンメディカル株式会社様

医療機器の開発・製造・販売を手掛け、質の高い製品とサービスを提供するサンメディカル株式会社。創業以来、医療現場のニーズに応える革新的な技術と品質の向上に取り組んできた同社は、より強固な組織基盤を築くため、人事制度改革に着手した。
本改革では、10年以上運用されてきた評価・報酬制度を抜本的に見直し、社員のエンゲージメント向上と企業成長の両立を目指した。改革の背景には、評価の不透明さや報酬体系の課題、採用競争力の低下といった問題があり、制度の抜本的な見直しが求められていた。
では、どのような課題を抱え、それをどのように解決していったのか、制度改定の経緯や実施過程での苦労、運用開始後の変化について、サンメディカル株式会社の総務部長 石田忠 氏、人事総務グループマネージャー 牛丸 哲也 氏、竹内 美紀 氏 、小松 亜沙美 氏に詳しく話を伺った。

1. 人事制度改革の背景と課題

――まず、この制度改革を実施しようと思った背景と、その当時抱えていた課題について、改めてお聞かせいただけますか。

石田 氏:

2年前に三井化学グループ全体でエンゲージメント調査を実施した際に、報酬や評価制度に対する不満が多く、経営層とのコミュニケーションが不足していると指摘されました。 また、賞与のウェイトが大きいことも課題でした。採用活動において、年収ベースでは他社と遜色ない場合でも、月額給与が低いために候補者から敬遠されることがありました。実際には賞与を含めれば競争力があるのですが、賞与は変動要素が大きいため不安定と捉えられ、他社に採用競争で負けることもありました。このような背景から、報酬や評価制度を一度に改革する必要があると考えました。

――人事制度改訂の号令はどなたがかけられたのでしょうか。

小松 氏:

代表社長の中島を中心に人事メンバー主体です。中島自身が、人的資本の重要性を強く意識していましたので、改革を実施するには良い機会だと判断しました。 中島社長が策定した3年間の中期経営計画「ホップ・ステップ・ジャンプ」の中で、人事制度改革が最初のステップとして位置づけられていました。 さらに、旧制度が導入されてから10年以上が経過していたこともあり、その間にも部分的な改定は実施してきましたが、全体的な統一性を欠く状況になっていた点も課題でした。

――エンゲージメント調査の結果や制度運用の観点から、この10年間で環境の変化に対応しなければならない点が出てきたと思います。また、中期経営計画においても、会社の目指す方向性の中で「まずは人から変えていく必要がある」という考えが大きかったのですね。

石田 氏:

はい、報酬や評価の仕組みが10年間ほとんど変わらない中で、社員の意見との乖離が大きくなっていました。社員が求めるものと制度の間にズレが生じていたのです。 また、評価の結果が報酬に反映される仕組みになっているため、制度を見直すには相当な労力が必要になります。そのため、今回は包括的に見直し、改定に踏み切ることにしました。

小松 氏:

加えて、役割の定義が曖昧であるため、目標設定も不明瞭になり、その結果、評価に納得できない社員が多いという循環に入りつつありました。この点は、エンゲージメント調査の結果にも顕著に表れていました。

2. 制度改定の課題と苦労

――実際に制度改定を進める中で、特に難しかった点や苦労した点はありましたか。

石田 氏:

理想の制度を設計しても、実際に運用すると想定通りに機能しない部分が出てくることを痛感しました。 例えば、今回の改革では賞与のリバランスを行い、各社員に給与の変更内容を通知しました。しかし、通知を受け取った後、「今までと何が変わったのか。」といった質問が多く寄せられました。

小松 氏:

社員の中には、源泉徴収票を見比べて「給与が下がったのでは。」と心配される方もいました。新しい制度では年収は下がらないよう設計していますし、賞与自体は業績連動のため変動する部分はありますが、それ以外の部分については維持されるようにしています。 それでも、制度改定後の説明をしっかり行わなければならないと改めて感じました。

――制度を設計した後、個々の社員に納得してもらうための説明が運用面で大変だったということですね。

小松 氏:

そうですね。「伝えたつもり」でも、実際には伝わっていなかったことも多く、後になって「そんな話は聞いていない」と言われることもありました。改めて、コミュニケーションの難しさを実感しました。

牛丸 氏:

現状を把握したうえで、それをもとに制度改革を行うことができたのは良かったと思いますが、今後運用していく中で必要に応じてさらなる改善を続けていきたいと考えています。

3. 制度改革でこだわったポイント

――制度改定において、皆さんが特にこだわったポイントはどこでしょうか。

牛丸 氏:

相対評価のウェイト設定に課題を感じていました。以前の4段階評価では、絶対評価の後に相対評価のウェイト配分に合わせるべく、最終的に評価が調整されるケースがあり、特に下方修正の場合、納得感が得られていないという状況が見受けられました。今回5段階評価に変更しましたが、中心化傾向が強くなる可能性はあるものの、以前よりは適正な評価結果につながるようになったと思います。

――ありがとうございます。ご指摘のとおり、最近では絶対評価に移行する傾向が強まっています。どちらかというと、評価の妥当性を検証するプロセスをしっかりと取り入れることが重視されています。

牛丸 氏:

そうですね。その際には原資の決め方も重要になってきます。多くの企業では、昇給原資の総額を決定したうえで、その範囲内で評価に応じて配分する方法を取っています。これにより、評価基準を明確にしつつ、納得感のある運用が可能になると思います。

――評価結果が適切でない場合、評価基準そのものを見直す動きもありますね。

4. 評価制度の運用と意識改革

――運用面の課題について、当初のヒアリングの段階で皆さんの間にも懸念があったと思いますが、実際に運用を開始してみて、「評価への意識が変化した」と感じるタイミングはありましたか。

竹内 氏:

今回、制度設計後に評価者および被評価者研修までをセットで実施していただきました。このような体系的な研修はこれまで実施したことがなかったため、多くの社員が新たな気づきを得る良い機会になったのではないかと思います。また1on1の導入などを通じて、「評価は単なる給与決定のためではなく、人材育成やさらには組織の成長を促すための重要なプロセスでもある」というメッセージが強く伝わったと思います。

5. コンサルティングに対する評価と今後の展望

――最後に2点お伺いしたいのですが、まず、私どものコンサルティングを選んでいただいた理由について、そして、2年間のコンサルティングを通じて感じたことについて、お聞かせいただけますでしょうか。

牛丸 氏:

私が特に印象に残っているのは、まだ契約前の段階にもかかわらず、弊社の事前情報をもとに理解を深めるべく積極的に関わってくださった点です。 弊社の実情をしっかりと把握したうえで提案していただけたことは、大変ありがたく感じました。さまざまなデータや資料を分析し、入念に調査を行ったうえで提案を持ってきていただいたことに、非常に好感を持ちました。 また、他のコンサルティング会社と比較すると、やや異なるアプローチを取られていたと感じました。他社の場合、既存のフレームワークや仕組みをまず紹介し、それを基に話を進めることが一般的でした。 一方で、御社は弊社が中小企業であることを前提に、例えば大企業向けの制度をそのまま導入するのではなく、現状を踏まえたうえで「何を改善すべきか」「どの部分を是正するべきか」といった視点で、実態に即した提案をしてくださいました。このような進め方をしていただいたことで、弊社に適した制度改革ができると確信できましたし、他社との差別化の要素にもなったと感じています。

小松 氏:

まず、非常にスムーズなコミュニケーションが取れたこと、また、対応が迅速だったことが大きなポイントでした。他のコンサルティング会社と比較しても、年間を通してプロジェクトを円滑に進めることができると感じました。 また、弊社は社員100名ほどの規模ですが、同規模または少し大きい規模の企業での実績が多数あることも、弊社の実態に即したものになると期待しました。

――ありがとうございます。それでは、実際に2年間コンサルティングを受けてみての感想をお聞かせいただけますでしょうか。

石田 氏:

自分たちだけで制度を考えていたら、それが一般的なものなのか、あるいは特殊なものなのかという判断が難しかったと思います。その点、コンサルタントの方に意見をいただきながら進められたことで、より確信を持って制度を設計することができました。

牛丸 氏:

率直に言うと、大手コンサルティング会社の場合、ガバナンスが厳しく、細かな相談をしても「それは難しいです」と言われることが多い印象があります。 一方、御社はブティック系コンサルティングならではの柔軟性があり、期限が迫る中でも無理を聞いて調整していただいた点が、とてもありがたかったです。 また、中小企業向けの視点だけでなく、大企業の事例や業界全体の傾向についても調査したうえで、弊社に合った形に落とし込んでいただけたのも大変助かりました。さらに、滋賀県の事情など、地域性まで考慮して提案してくださったのも良かった点です。弊社のニーズにしっかりと応じた提案をしていただけたことに感謝しています。

小松 氏:

コンサルタントの方に入っていただかなければ、このスピード感でここまでの制度改定は実現できなかったと思います。また、他社事例などを直接聞く機会が少ない中で、他社の取り組みを知ることができたのは、非常に勉強になりました。さらに、外部のコンサルタントに関与いただくことで、社員の納得感が生まれたことも大きなポイントです。また、制度を設計した方が、その後も引き続き研修を担当してくださることで、社員にとっても安心感が生まれたようです。この点に関しても、非常に良かったと感じています。

――ありがとうございます。至らない点もあったかと思いますが、このようなお言葉をいただけて、大変嬉しく思います。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
企業名
サンメディカル株式会社
発足
1981年2月21日
資本金
1億円
社員数
141名(2024年7月現在)
事業内容
歯科材料その他医療用具の製造、販売及び輸出入
今回ご提供したサービス
組織・人事制度設計
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