職能等級型の人事評価制度が能力を基準にしていたのに対して、こちらの制度では職務を基準にしています。もともとはアメリカで使われ始めた仕組みであり、同じ職務を担当している限り給与は同じくらいにしなければいけない、という考え方でもあります。
職務を基準にした人事評価制度では、その人の年齢や能力、経験などは勘案しません。そもそも能力や経験があるからその職務を担当できている、という風に考えます。
この職務を基準にした考え方を日本企業が採用しはじめたとき、今までの能力基準とあまりにも違いすぎたため、その中間点となる落としどころを模索しはじめました。それが役割等級、と言われたりする仕組みです。
こうして導入された職務(役割)基準の人事評価制度では、能力基準の人事評価制度の問題点を解消することができました。一方で、運用面で以下のような問題点があります。
・制度は変えたが、人を見て役職を与える考え方を変えられなかったので、実態としては年齢や能力で運用されているのと同じになってしまう。
・厳しく職務を定めた会社では、ポストがないと昇格昇進できない。そのため若手のモチベーションが極端に下がるとともに、今ポストにいる人物達が(ポストを守るために)チャレンジしない。