次に管理職の等級を設計します。その際に、現在の課長や部長を前提として管理職を定義しようとすると、2つの理由から問題が生じる可能性があります。
(1) 過去の昇格判断があいまいだった場合に不適格な人が残る
(2) 現在の管理職の仕事を前提にすると役職の責任が不明瞭になる
理由の(1)は特に年功的に昇格させてきたような伝統的な会社でよく起きる問題です。
「そろそろ彼もいい年だから管理職にしよう」という運用が過去にされていたのであれば、そもそも現在の管理職人材に十分な能力や職務の妥当性がないかもしれません。そのような人を管理職に残すことを前提に考えてしまうと、どうしても一般社員との垣根があいまいになります。
理由の(2)は特に人を見て仕事を与えている会社に多い傾向です。
たとえば営業課長なのだけれども、物流部門にいたこともあるのでそちらでも課長代理を兼務している、といったことがあるような場合です。管理職とはあくまでも事業の結果に責任を持つ立場です。そして事業の結果とは、財務数値のことです。明確な財務数値の責任を、「個人としての管理職」に課すことができるかどうかが検討のポイントになります。