急成長するITプラットフォーム企業における、人材の挑戦と定着を両立させる人事制度改革の実践
設立1990年代後半
従業員500~600名
売上数百億円規模
提供サービス人事グランドデザイン設計、人事制度改定(等級・評価・報酬体系)、エンゲージメント調査、ジョブローテーション導入検討
実施期間15カ月
プロジェクトのきっかけ
同社では、ITプラットフォーム事業を主力とするIT業界において急成長を遂げていました。
特に主力業界を中心に導入が拡大し、売上も数百億円規模に拡大していく中で、事業多角化や海外展開といった次の成長ステージに向かうことが経営課題として浮上しました。
その一方で、制度面では従来型の評価・報酬体系を維持しており、急速に拡大する組織と噛み合わなくなっていました。
特に人材開発部が、制度の形骸化や社員定着力の低下に危機感を持ち、プロジェクト推進を主導しました。
また、経営企画部も中期経営方針との整合性を図る観点から強い関心を示しました。
人事コンサルタントとして弊社を選んでいただいた理由は、単なる制度改定ではなく「グランドデザイン」という発想で、等級・評価・報酬を経営戦略と接続する支援を提供できる点にありました。
IT業界特有のスピード感と人材流動性に対応するためには、場当たり的な修正ではなく、将来にわたる人材活用の方向性を定義する必要があり、その点で弊社のアプローチが高く評価されたのです。
目的
本プロジェクトの目的は、急成長するプラットフォーム型IT企業として「成長と利益の両立を支える人材基盤の確立」を実現することでした。
具体的には、第一に経営幹部候補となる管理職層の計画的育成を通じて、将来の多角化戦略や海外展開を担える人材層を厚くすること。
第二に、採用市場における競争優位を確保するため、優秀層を惹きつける評価・報酬体系を構築し、入社後もキャリアの選択肢を提示することで定着力を高めること。
第三に、既存社員が自らのキャリアを主体的に描けるようにし、挑戦と創造性を後押しする制度設計を実現することでした。
従来の年次的昇給モデルや一律の昇格基準を改め、成果や専門性に応じて処遇が変わる仕組みを整備することで、社員に「努力が正当に報われる」という納得感を与えることを狙いました。
IT業界では、優秀人材の流出が成長を阻害する最大のリスクであり、本プロジェクトはそれに正面から対応する取り組みだったといえます。
課題
ご相談いただいた際、同社が認識されていた課題は大きく分けて三点ありました。
第一に「採用の難化」です。IT業界全体でエンジニアや営業人材の獲得競争が激化しており、従来の給与水準や評価制度では十分に競争力を確保できない状況にありました。
第二に「定着力の不足」です。優秀人材が一定期間で転職してしまうケースが増え、キャリアパスの不明確さが背景要因と考えられていました。
第三に「制度運用の形骸化」です。等級・評価・報酬制度は存在していましたが、目標設定のばらつきや評価の甘さが指摘され、社員にとって納得感のある仕組みになっていなかったのです。
さらに、IT業界特有の急成長に伴い、管理職層の育成が追いつかず、中期経営方針で掲げられた売上・利益目標を達成する上で、戦略を担う人材が不足していました。
こうした背景から、短期的な修正ではなく、長期的に機能する「人事グランドデザイン」を描き、制度と運用を再設計する必要性が明確になったのです。
実際に構築した制度のポイント
同社においては、従来の年功的な処遇体系では急成長する組織の多様なニーズに応えきれず、優秀人材の採用や定着に課題が生じていました。
そこで弊社は「人事グランドデザイン」の考え方を導入し、等級・評価・報酬を一体化させた制度を再構築しました。
具体的には、社員が専門性を伸ばすルートとマネジメントに進むルートを選択できる「ハイブリッド型キャリア」を設計し、キャリアの選択肢を広げました。
また、評価制度を成果・行動・貢献の3軸で整理し、結果が昇格や処遇に直結する仕組みにより納得性を担保しました。
報酬については、自動昇給から昇格連動型へと改め、公平性と挑戦意欲を両立。
さらに、エンゲージメント調査や多面評価を取り入れることで、制度が運用面でも形骸化しないよう仕掛けを設けました。
提供した支援内容は、単なる制度改定にとどまらず、調査・分析、キーパーソンインタビュー、制度設計、運用試行、マネジャー教育まで多岐にわたりました。
他のコンサルティング会社が制度設計にとどまりがちな中で、弊社は「制度が社員の行動変容を促し、経営戦略を実現する」ことにまで踏み込んだ点が差別化要因となりました。
特筆すべき課題や解決策の特徴
この事例は、同じく成長スピードが速く人材獲得競争の厳しいIT業界の企業に広く応用可能です。
弊社が重視したのは「制度を形だけ導入するのではなく、経営戦略と人材活用をつなぐ仕組みを構築する」ことです。
担当コンサルタントの声:「変化が激しい業界では、人事制度は“安定”ではなく“進化”のための基盤であるべきです。社員の挑戦を促す制度を作ることは、事業の競争力を維持することに直結します。目の前の課題解決に留まらず、将来を見据えた制度づくりを一緒に進めていきたいと思います。」