Z世代の育成が10年後の収益を決める

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入社3年目の退職届

こんにちは。平康慶浩です。

あるメーカーの役員会議でのことです。
人事部長が「入社3年目のZ世代社員が、次々に辞める傾向にあります」と報告しました。
給与は市場並み。福利厚生も一通り揃えている。残業時間も抑えられている。

それでも彼らは、入社して数年で「この会社で成長するイメージが持てない」と言い残し、転職していきました。

「昔の新人は5年、10年は腰を据えてくれたのに…」と嘆く役員。
しかしこれは単なる世代の気まぐれではなく、会社がどんな未来を示せるかに彼らが敏感だからこそ起きている現象です。


Z世代の特徴は「安定より成長」

Z世代(1990年代後半〜2010年生まれ)は、これからの10年で企業の中核を担います。

Z世代が重視するもの

  • 安定より成長:「同じ仕事を10年続ける」よりも「新しいスキルを学ぶ」ことに価値を置く
  • 納得感のある説明:理由が分からなければ行動しない
  • キャリアの見通し:自分の未来像が見えない会社からは早めに離脱する

Z世代にとって、会社に留まるのは「登山を続けること」に似ています。
山頂に何があるのか、どのルートで進むのかが分からなければ、不安で仕方ありません。
逆に「この道を行けば景色が開ける」と分かれば、険しい坂も頑張れるのです。

制度がその「地図」の役割を果たしていなければ、彼らは迷わず別の山に移動してしまいます。


制度がZ世代の成長を支える

人事制度は、Z世代に「ここで成長できる」と思わせる仕組みでなければなりません。

キャリアの透明性

あるIT企業では、昇進や異動のルールを明文化し、社内ポータルで全社員に公開しました。
「努力がどこにつながるか分かる」とZ世代社員に好評で、入社3年以内の離職率が半減しました。

不透明な制度は、魚に濁った水を与えるようなものです。
魚は方向を見失い、泳ぐのをやめてしまいます。逆に透明な水槽なら、魚は安心して泳ぎ回り、成長します。
制度の透明性は、社員にとっての「澄んだ水」と同じです。


スキル習得支援

製造業A社では、資格取得やリスキリングを報酬制度に組み込みました。
「学んだことが報酬につながる」仕組みは、学習意欲の強いZ世代に刺さり、離職防止と同時に生産性向上を実現しました。

Z世代を畑の苗に例えると、スキル習得支援は肥料です。
肥料を与えなければ苗は枯れ、別の畑に移されます。
逆に栄養を与えれば、苗は根を張り、やがて実を結びます。

種を蒔かなければ、10年後に収穫できる作物はありません。
いまの制度設計が、将来の収益を左右するのです。


放置すればどうなるか

もしZ世代の育成を軽視すれば:

  • 入社3年以内の離職率が高止まり
  • 中核層がスカスカになり、採用コストが膨張
  • 幹部候補が社内に育たず、外部採用依存に

やがて中途採用を続けていくことになりますが、その組織には文化が育っていません。
文化のない組織は、都度都度のメンテナンスが必要となり、組織力をうまく発揮できないこともあるでしょう。


経営者が持つべき視点

経営層が考えるべきは「Z世代が残るかどうか」ではなく、
「Z世代が成長し、10年後に収益を生み出す仕組みを制度にどう埋め込むか」です。

あるスタートアップ経営者はこう語りました。
「彼らがやりたいことを見つけられる制度を整えたら、残るか辞めるかではなく、成長するかどうかが話題になった」

経営者が制度を整えるのは、若手に「未来へ渡る橋」をかけることに似ています。
橋がなければ若手は途中で止まり、別の道を探します。
橋を渡せば、彼らは安心して先に進み、やがて会社の中心に立つのです。


Z世代の育成は未来の収益基盤

Z世代は、これからの10年を支える中核人材です。
彼らが「ここで成長できる」と思える制度を持つ会社は、人材が定着し、未来の収益基盤を築きます。

逆に「どうせ辞める」と諦めた会社には、10年後に収益を生む人材が社内に残っていません。

制度は、今を支える仕組みであると同時に、未来の収益を保証する「投資」でもあります。

次回は「副業時代でも辞めない人材を確保する経営の仕組み」というテーマで、多様な働き方に対応する制度設計を考えます。


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