「信頼で会社は動く」――しかし、その信頼を仕組みにできていますか?
セレクションアンドバリエーションの平康慶浩です。
多くの会社の役員制度改革を進めてきて、いま改めて、CXO体制構築の必要性を提言する必要がある、と強く感じました。
特に、長く経営を続けてきたオーナー企業においてこそ、CXO体制が求められる、と感じたのです。
CXO体制の対義語は、専務や常務などが経営を統括する体制。これを「専務・常務体制」と仮置きします。
専務・常務体制の本質は、社長との信頼化に基づく、強固な経営体制です。
それは、社長の意図を正確に理解して動ける経営体制であり、現場との調整もスムーズな仕組みです。
創業以来、幹部とは家族のような関係で、困ったときには顔を合わせて決める。
大事な判断は最後は「社長が決める」。
その信頼があるからこそ、会社が成長してきた、といえるのでしょう。
けれども私は、専務・常務体制だからこそ、会社が伸び悩んでいる状態を目の当たりにしてきました。
「この信頼を、次の世代にどう渡せばいいのだろうか」
「私がいなくても、同じように会社は動くだろうか」
多くのオーナー社長から問いかけられたこの思い。
実はこの“漠然とした不安”こそが、経営が次のフェーズに進む合図だと、強く感じました。
専務・常務体制の限界 ― 信頼が強いほど、仕組みが育たない
オーナー企業の多くは、「社長・専務・常務」という信頼の三角形で経営が成り立っています。
それ自体は素晴らしい。
意思決定も早く、現場との距離も近い。
しかし、その強固な信頼が長く続くほど、次の課題が生まれます。
- 重要な判断は、結局「社長が決める」
- 幹部は「社長の意向」を察して動く
- 会議では“報告”ばかりで、議論が起きにくい
- 若手幹部が「どう決めていいか分からない」
つまり、信頼が強すぎるがゆえに、仕組みが育たないのです。
経営は社長の人柄と関係性で回っている。
でも、それは社長がいなくなった瞬間に「止まる経営」でもあります。
この構造を壊さずに、進化させる方法があります。
それが――CXO体制という考え方です。
CXO体制とは、信頼を壊さずに再現する仕組み
CXOとは「Chief X(機能) Officer」の略。
CFO(財務)、COO(事業)、CHRO(人事)、CSO(戦略)など、
経営を構成する機能を明確にし、責任と権限を分担する仕組みです。
この体制の目的は、肩書きを並べることではなく、経営の再現性をつくること。
たとえば――
- CFOが「資金」「収益」「リスク」を数字で管理する。
- COOが「生産性」「品質」「業務最適化」を横断的に整える。
- CHROが「人材育成」「等級・報酬」「後継育成」を担う。
経営の“意思決定の型”を明文化し、
社長の経験と勘を「チームが共有できる仕組み」に変えていく。
CXO体制とは、つまり社長の頭の中を、組織で使えるようにする”ための経営設計なのです。
「答えを出す社長」から「問いを立てる社長」へ
専務・常務体制の社長は、
「最後に答えを出す人」です。
CXO体制の社長は、
「問いを立てる人」です。
「なぜこの数値になっているのか?」
「何を優先すべきか?」
「どんな人材を育てるべきか?」
その問いに、CFOやCOO、CHROがそれぞれの領域で答える。
このやりとりが重なることで、
経営は“社長に頼らず動く”チームへと進化します。
つまり、CXO体制とは、社長が経営を“支配”から“信託”へ変える仕組み。
社長が「決める」から「考える場を設計する」へと役割を変えたとき、
会社は持続的に成長できるようになります。
どこから始めればいいのか? ― 一人からでいい
「そんな理想は分かるけど、うちにはCXOなんていない」
――多くのオーナー社長がそう言われます。
でも、最初からすべて整える必要はありません。
CXO体制は、一歩ずつ作るものです。
- まずは信頼できるCFO(財務)またはCOO(業務統括)を立てる。
数字と現場の両輪を整理するだけで、経営は驚くほど安定します。 - 次に、CSO/CMO(営業・戦略)を設け、
「作る」だけでなく「売る」力を構造化します。 - 最後に、CHRO(人事)が加わることで、
人材・制度・文化のすべてを経営とつなげる基盤が完成します。
つまり、CXO体制は「人」ではなく「機能」から始められる。
信頼できる人材を起点に、属人的な判断を仕組み化していくプロセスなのです。

信頼を壊さず、仕組みに変える ― それが私たちの役割
セレクションアンドバリエーションは、
人事コンサルタントとして多くのオーナー企業の経営変革を支援してきました。
私たちが最も大切にしているのは、
“信頼を壊さないこと”です。
CXO体制は外資企業の模倣ではなく、
日本的な信頼経営を次世代に受け渡すための「構造化」です。
そのために、経営機能の棚卸し、CXO構成の設計、
経営会議や報酬制度の再構成までを一貫して支援しています。
私たちが提供できる支援の一例:
- 経営機能の可視化と課題分析
- CFO・COO・CHROなどCXO構成の設計
- 経営会議・KPI・報告ラインの整理
- 幹部・後継者候補のアセスメントと育成計画
- 経営制度と人事制度の統合設計
信頼を軸に、機能を整理し、制度と文化をつなぐ。
そのプロセスの設計こそが、人事コンサルタントとしての私たちの専門領域です。
経営をチームにすることが、次の責任
「信頼で回る経営」を続けることは、
“人を信じる力”の証です。
ですが、その信頼を構造として残すことが、次世代にとっての最大の贈り物です。
CXO体制は、信頼を壊す仕組みではありません。
信頼を仕組みで再現する方法です。
オーナー企業の経営者として、
次の10年を見据えるとき、
経営をチームとして再構成する――その一歩を踏み出すタイミングかもしれません。
セレクションアンドバリエーションは、
経営と人事の両輪から貴社の未来を支えるパートナーです。
“信頼を仕組みに変える”そのプロセスを、共に設計していきましょう。


