キャリアの納得感を可視化し、中堅層の活力を引き出す– 高スコア組織における「見えない課題」へのアプローチ –
設立1920年前後
従業員約80,000名(グループ全体)
売上数兆円規模
提供サービスキャリアエンゲージメント調査・分析
実施期間4か月
プロジェクトのきっかけ
本プロジェクトの発端は、2つの事業本部において、「一見すると高エンゲージメントな組織であるが、その中でも相対的にエンゲージメントの低い層が存在している」という問題意識に基づいています。
既存の組織エンゲージメントサーベイでは明確な打ち手が見えにくく、従業員一人ひとりのキャリア視点に立ったアプローチが必要と判断されました。
弊社を選定いただいた理由は、既存の制度改革やエンゲージメント調査を補完する、「キャリアにおける納得感」にフォーカスした独自サーベイ設計と、個人・組織の両面からの打ち手提案力にありました。
特に中堅層や中庸人材層への支援策に対する知見と、過去の類似支援実績が評価されました。
目的
プロジェクトの目的は、単にエンゲージメントスコアを上げることではなく、「働きがいの中身」を可視化し、キャリアの納得感を高めることにより、ミドル層・若手層・旧一般職層を含めた全社的な活力の底上げを図ることでした。
キャリアの形成や満足度に影響する「生活要因」「キャリア選択要因」「周囲との比較意識」に注目し、個々人の“今後のキャリア展望”に向き合うことが最大の狙いでした。
課題
クライアントが当初抱えていた課題は、「表面的な高エンゲージメント」の中に埋もれていた、“個別のキャリア不全”を見つけ、適切な打ち手を講じることの難しさでした。特に下記3点が主な論点でした。
・キャリア形成における閉塞感:ロールモデルの不在や昇格・異動機会の不透明性
・新制度への適応課題:職掌一本化による旧一般職のキャリア観の変化
・キャリア志向が見えにくい「中庸人材」の存在:約3割が該当し、成長意欲も退職リスクも見えにくい層への対応が困難
従来の人事制度やサーベイ結果だけでは対応できない“見えにくいキャリア意識”をどう読み解くかが鍵となりました。
実際に構築した制度のポイント
同社では、既存の組織エンゲージメント調査では把握しきれなかった、個人のキャリア観や納得感に焦点を当てた「キャリア・エンゲージメントサーベイ」を新たに構築・導入しました。
設問は一人一人のキャリア形成プロセスを踏まえ、「比較の対象」「偶然性や曖昧さ」「不安要素」をあえて可視化するユニークなものでした。
また、グレード・所属・人材タイプなどの切り口での多角的分析と、それに基づく6つの施策(メンター制度拡張、ロールモデル明確化など)を提案。
従業員一人ひとりの内面的な納得感にアプローチする制度設計となりました。
提供した支援内容:
・キャリアエンゲージメント設問設計
・WEBサーベイ実施・統計分析
・グレード別・属性別課題分析
・施策提案(全社向けアクションプラン)
・プロジェクト型伴走支援
他のコンサルティング会社とは異なる差別化要因:
・キャリア理論と行動経済学に基づいた設問設計
・組織制度そのものを変えずに“個人の納得感”から変革を促す手法
・サーベイ単体ではなく、対話・制度・育成との連動性を重視
特筆すべき課題や解決策の特徴
本プロジェクトで特筆すべき点は、従業員の「中庸なキャリア志向」や「ロールモデル不在によるキャリア停滞感」といった、一般的な調査では見逃されがちな層に光を当てた点です。
これらに対して、①キャリアの閉塞感を認知バイアスとして捉え直す手法、②メンター制度を若手だけでなく停滞層にも広げる施策、③昇格以外のキャリアプラトーを前向きに設計するという、従来とは異なる視点からの提案を行いました。
結果として、組織全体としての施策設計の幅が広がり、従業員の“自分なりのキャリア納得”を促す設計へと発展しました。
支援の成果:
・従来の制度運用を維持したまま、内面的エンゲージメントを高める戦略提示
・個別等級層など、特定グレードに応じた課題特定と具体策の明確化
・人材クラスターに基づく柔軟な支援設計の導入
成果に対するクライアントの声(要約):
「見えていなかった層の課題が明確になり、打ち手が整理できた」
「高エンゲージメント組織であっても、まだ改善余地があることに気づけた」
「全社展開前に、まず特定部門での試行が非常に有益だった」
今後の展望:
・他部門への横展開を視野に入れた検証フェーズへ
・中庸人材層向けのキャリア対話研修など、育成施策との連動検討
・全社人事制度との整合性を踏まえた制度設計フェーズへと移行予定