Z世代の離職率を抑え、活躍と定着を実現する人事の仕組み
「若手人材のマネジメント方法が分からない」
「最近、Z世代という言葉をよく聞くけどどんな世代?」
近年、セレクションアンドバリエーションには、若手人材のマネジメントに関するお悩みの声が多く寄せられます。
いま、様々な企業で若手人材のマネジメントが重要視されています。その中でも、特に注目を集めているのがZ世代と呼ばれる世代です。
セレクションアンドバリエーションは、若手人材向けの研修・教育サービスも行っており、Z世代と接する機会も多いです。
このページでは、Z世代の特徴と、彼らが企業に定着し、企業の成長に貢献するためのマネジメント手法をご紹介します。
このページを読めば、Z世代が企業にどのようなことを求めているのかが分かり、今後の人事マネジメントにご活用いただけます。
INDEX
Z世代の特徴と注目される背景
ハッキリとした定義はありませんが、Z世代とは1996年頃~2012年頃に生まれた世代を指す言葉として使われています。呼称の始まりはアメリカです。
1960年~1974年生まれをX世代、1975~1995年生まれをY世代と定義した流れから、新しい特徴を持った世代のことをZ世代と呼びます。
Z世代は、1981年代後半から1995年の間に生まれた「ミレニアル世代」とも異なる価値観や特徴を持っており、以下のような性質を持った世代であることが有名です。
・ソーシャルネイティブでコミュニティと承認・称賛を重視
・個性や自分らしさを重んじ、多様性を受容
・お金やキャリアに保守的で堅実な考え
・社会貢献への高い意識
従来の世代とは少し異なった性質を持つことに加えて、今後人口に占めるZ世代の比率増加による影響度の拡大から、マーケティングや人材育成の文脈で注目を集めています。
なぜ、このような性質を持つようになったのか、彼らが過ごしてきた社会情勢や取り巻く環境に大きな要因があるといわれています。
「スマホがあたりまえで、膨大な情報のやりとりにさらされた世代」
「いつでもどこでも、誰とでも接続できて承認を受けてきた」
あたりまえのようにインターネットが普及していたことに加えて、青年時代はSNSが生活に浸透している時代を過ごしてきました。そのため、スマートフォンやタブレットを通して、いつでもどこでも世界中の好きな人とつながりを持てることがあたりまえなのです。
特に、SNSは自分の体験や意見を自由にアウトプットできる場です。SNSを通じて、互いに「いいね」を付け賞賛・受容することが、Z世代の承認欲求を満たすことに大きく寄与しています。
これらのソーシャルネットワーキングでの体験が、働く上での価値観形成にも影響を与えているのは言うまでもありません。
「スマホコンテンツの拡充でより早く情報を得て、より早く活用してきた」
小さいころからスマートフォンやタブレットに触れていることで、動画コンテンツを中心に膨大な情報を浴びて育ってきました。
ある調査によると、Z世代が情報や答え、娯楽を求めているときにGoogleではなくYouTubeで調べて情報収集する傾向が上の世代に比べて大きいとも言われています。さらには、個人に合わせたレコメンド機能により自分が求めている情報にますます早くリーチできるようにもなっています。
膨大な情報に加えて、欲しい情報に自分が探す前にはリーチできるスピード感もZ世代の価値観形成には影響を与えているのです。
「世界的な大不況・未曽有の震災を学生時代に経験した」
金持ちになって派手な生活をすることや会社で出世して偉くなることを現実的に捉えていません。過ごしてきた不況の時代が長く、「金持ち」や「出世」に対して、自分の姿を投影しにくい世代だからです。
Z世代が生まれたときにはすでにバブル後の景気低迷期でした。さらには社会人になるまえに、「リーマンショックによる世界的恐慌」を経験しています。これらにより自身の親世代が消費に対して倹約な姿勢を取るのを目の当たりにしたことで、現実的な経済感覚を持ったり、借金・ローンを抱えることへの不安を持ったりするようになったのです。
上記に加えて、2011年には東日本大震災が起こり、かつてない自然災害を目の当たりにしています。ネットやテレビを通じて悲惨な現地の状況を目の当たりにしたことで、社会問題への意識も芽生え始め、ネットを通じた社会問題への関与も強まったといわれます。
Z世代が会社に求める要素
上述のように、Z世代はこれまでの世代とは異なる特徴を持っています。
そんな彼らが離職するのを防ぐために、企業が講じられる策はどのようなものでしょうか?
Z世代のマネジメントポイントは3つです。
①事業の「社会的意義」を浸透させる
Z世代が重要視するニーズの一つに、「社会的に意義のあることをしたい」という思いがあります。そのような軸に基づいて就職活動も行っていますが、実際に働き始めてからギャップを感じる瞬間も少なくありません。Z世代は、この会社は何のために存在しているのか、何を社会に提供しているのか、をしっかり理解したいと感じています。
Z世代に対して事業理解を浸透させるために、企業は経営層からのメッセージを自社の仕組みに反映できると良いでしょう。
②個性を尊重し、承認欲求を満たす
前章でも説明したように、Z世代はSNSを通じて「いいね」といわれることで承認欲求を満たしてきました。そのため、仕事においても「自分の個性や存在を認めてほしい」というニーズを強く持っている世代です。
承認欲求以外にもう一つ着目しておきたいのが、「(他人を傷つける、倫理観に欠ける発言でなければ)自由に意見を発してよい」という考え方です。SNSを通じて自分の意見・考えを自由に発信することに慣れており他人と異なる意見があって当然だというマインドを持ちやすいのもZ世代の特徴です。
ですので、マネジメントの際にもZ世代から出てきた意見・考えを傾聴し、出てきたアウトプットに対しても、まずは「いいね」と称賛し、ありのままを受け止めてあげることが必要なのです。
③スピーディかつ継続性のある成長実感を持たせる
長期的な定着を検討する際に、金銭的な報酬の担保はもちろん大事です。しかし、それだけではいけません。Z世代を刺激しモチベーションを高めるには、職務への満足とスピーディな成長の実感も重要なポイントとなるのです。そのためには仕事を一つ一つ覚えてクリアすることで得られる達成感と、それと連動した報酬をセットにしていく必要があります。
併せて、後述もしますが成長に対して声をかけ、認めてあげるコミュニケーション頻度をこれまで以上に増やしていくことも重要です。日常的な会話はもちろんのこと、組織内の仕組みとしてコミュニケーションの在り方の設計も併せて検討できるのがベターです。
さて、これまで見てきた特性を踏まえながら、離職防止の具体策を検討していきます。
ただし、念頭に置かねばならないのは、「若手社員が早期離職することは問題なのか」という点です。
つまり、問題は「辞めてほしくない若手」が辞めることであり、若手社員全員を囲い込むことは必要ではないのです。そのためには、「自社の成長にはどんな人材が必要なのか」といった求める人材像の定義が必要であり、そこからブレイクダウンして、残して育てるべきZ世代を見極めていくことが大切なのです。
では、見極めた後、どのような仕組みの中で育てていくのがよいのかを次章で見ていきます。
Z世代の活躍と定着を促進する人事の仕組み
そもそもの話ですが、若手人材の活躍と定着を求める目的は何でしょうか?
従業員満足度の向上、離職率の低下、事業の後継者育成などなど視点を変えれば多様なゴール設定が可能ですが、最終的な目標は企業がゴーイングコンサーンを実現するために、様々な人事施策を実施するのです。
「自社が業績を上げ、永続的に存在する」ために、常に若手人材を投入して育成することで、定着を図り、事業を受け継いでいく必要があるのです。仕組みを考える際にも大切なのは、まず「事業目的や理念からブレイクダウンして考えること」です。
(理念からブレイクダウンした等級定義)
では、事業目的や理念をどのような形で落とし込むのか。それを実現するのが「等級の仕組み」です。
会社がどんな人材を求めていて、どのような成長をしてほしいのかを目に見える形で示すのが等級なのです。したがって、等級はボトムアップで考えるのではなく、トップダウン思考で落とし込んでいきます。その中に、経営理念や提供価値などのエッセンスを加えることで、従業員に何を求めているのかを明確にしていきます。
そして、スピード感のある成長を実現するために、実績に合わせて早期の昇格も可能とした昇格プロセスや昇格基準も整備します。情報感度が高く、時間対効果を重要視するZ世代に「勤続年数に応じて能力が向上する」といった年功的な考え方は通用しません。時代に合わせて、等級の基準を変えていく決断も求められているのです。
(多様性を認めるキャリアパスの設計)
多様な価値観を認め合う環境も、Z世代にとっては重要な企業選びの要素となります。これはキャリアの積み方にも同じことが言えます。
管理職を目指さずともプレイヤーとしてキャリアを積むことを許容される、転職をせずとも社内で別の職種にチャレンジできる等、こういった多様性を仕組みとして取り入れることで、Z世代は安心して働くことができるのです。
実はこのような異動を踏まえたキャリアパスを作ることは、従業員だけでなく組織にも大きなメリットがあるのです。
・複数部署を経験することで、多角的な視点を持ち経営幹部の育成につながりやすい
会社が大きくなると、機能別組織から事業部制組織へと組織編制することがありますが、その理由の一つにもなります。自部署のみならず、他部署を踏まえた全体最適視点で業務に取り組めるようになることで全社の成長を視野に入れた幹部候補生の育成にもつながります。
・組織内の横のコミュニケーションが生まれやすくなり、生産性が向上する
こちらも上記と同様に、多角的な視点が身につけられるとともに、組織内の重複スラックを見つけることに寄与します。つまり、共有できる財産や情報を受け渡すブリッジ機能を作ることにもなるのです。
(わかりやすい評価制度で行動と成長の促進)
Z世代の行動と成長を促進するためには、「何をすれば評価されるのか」を明確に記すことが重要です。
そのためには、「必要な指標」を選定していく作業が必要です。成果を求める以上、可能ならばあれもこれもしてほしい、と考えてしまいます。しかし、それは逆効果で「何をすればいいのかわからない」という現場の混乱を生んでしまいかねません。
等級定義に基づいて、「何をしたら評価され、報酬をもらえるか?昇格できるのか?」これらをわかりやすく示すのです。
(信頼関係を構築するコミュニケーションプロセスの設計)
人材の活用と育成を考える時にセットで検討したいのがコミュニケーションプロセスです。企業が存続していくためには、経営目標・財務目標を示し、そのゴールを達成していくことが必須になります。ゴールに向かうステップはいくつかに切り分けられますが、そのすべてのステップでコミュニケーションが重要です。
そのプロセスを踏まえた上で、個々に対応するための「対話支援スキル」を向上させていく必要があるのです。
例えば、1on1ミーティングを導入するにしても、コミュニケーションプロセスが明確に示されていなければ、ただ単に「部下の話を聞く時間」になってしまいます。あくまでも、成果を創出するためのツールなのです。
そのうえで、1on1の中で活用するための傾聴を中心したスキルを活用して成長や活動への努力を承認し、さらなる成長への素地を作っていくのです。
Z世代マネジメントに関するお問い合わせ
ここまで、Z世代の活躍と定着の視点から、マネジメント施策をご紹介しました。
しかし、これらの施策はZ世代に迎合するために実施するのではありません。
時代に合わせた仕組みを使って、会社を永続的に成長させるために実施するのです。
そのためには、Z世代の特徴を理解し、自社が求める人物像を明確にしたうえで、必要な対応策を練っていくことが鍵となります。
セレクションアンドバリエーションは、求める人物像の明確化や時代に合わせた人事戦略の構築を専門とする、組織人事改革のコンサルティング会社です。
多くの支援実績をもとに、各社様に合わせてオーダーメイドで支援しております。
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セレクションアンドバリエーション株式会社 代表の平康慶浩(ひらやすよしひろ)による、日本経済新聞社サイトNIKKEI STYLE連載でも企業における人事戦略について言及しています。
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