人事制度は企業経営において重要な仕組みの一つです。
しかし、売上や利益のように直接的な成果として現れにくいため、
「重要だとは思うが、効果が見えにくい」
と感じている経営者や人事担当者も少なくありません。
実際に、人事制度を見直すべきかどうかを議論する際、多くの企業で次のような疑問がよく聞かれます。
- 制度を変えることで、本当に会社の業績は良くなるのか
- 人事制度改革の効果はどれくらいで表れるのか
- そもそも、人事の取り組みは企業価値と関係があるのか
こうした問いに対して、明確に答えることは簡単ではありません。
企業業績には市場環境、戦略、商品力など多くの要因が影響するため、人事制度と財務の関係は一見すると見えにくいからです。
そのため、人事制度の議論はしばしば
「重要だとは思うが、どの数字で確認すればよいのか分からない」
という状態になりがちです。
一方で近年は、人的資本経営の議論が広がり、企業は人材や組織への投資を企業価値と結びつけて説明することが求められるようになっています。
そのためには、人事制度を単なる「制度論」として語るだけではなく、組織の状態を数値として可視化することが重要になります。
当社ではその分析フレームとして、SV6指標(人的資本数値分析)を用い、まず現状の整理と組織状態の可視化から始めることをおすすめしています。
本記事では、人的資本が重視される経営環境の中で、
人事制度と企業業績の関係を整理しながら、成果につながる制度設計や現状分析のポイントを解説します。
- 人事制度は経営にどう影響するのか
- 人事制度と財務をつなぐ「SV6指標」
- 人事制度改革の効果が見える時間軸
- 制度を変えるべきかどうか判断材料が欲しい
- 制度改革の成果がどこに表れるのか知りたい
- 自社の組織状態を客観的に把握したい
人事制度が企業経営に与える影響
まず前提として整理しておきたいのは、
制度を変更したからといって翌年すぐに業績が改善するとは限らないという点です。
企業業績には多くの要因が影響するため、人事制度の効果が短期的に財務指標へ反映されるとは限りません。
しかし、企業経営の実態を見ていくと、最終的な成果は人の意思決定や行動に大きく依存しています。
例えば企業の生産性や成長力を左右する要因として、次のようなものがあります。
- 優秀な管理職が育っているか
- 専門人材が活躍できているか
- 組織として人材が定着しているか
これらの要素は、企業の生産性や成長力に大きく影響します。
そして、これらの状態を左右する仕組みの一つが人事制度です。
人事制度とは、言い換えれば
組織の行動を変える仕組みでもあります。
評価制度、等級制度、報酬制度はいずれも、社員の意思決定に影響を与えます。
例えば、制度設計によって次のようなメッセージが組織に伝わります。
- 挑戦を評価するのか
- 長期的な成長を評価するのか
- 短期成果を重視するのか
こうした価値観や行動の方向性は、制度設計によって大きく変わります。
ただし、制度を作るだけで組織が変わるわけではありません。
運用が伴わなければ制度は形骸化してしまいます。
制度改革が成果につながらない企業の多くは、
制度設計と制度運用の間にギャップがあるという共通点があります。
そのため、人事制度の良し悪しを判断する際には、
制度そのものだけを見るのではなく、組織の状態を客観的に把握することが重要になります。
企業の人的資本の状態を図るSV6指標(人的資本数値分析)
当社では、企業の人的資本の状態を把握するために
生産性・組織力・リーダーシップの3つの観点から整理するSV6指標(人的資本数値分析)というフレームワークを用いています。
具体的には、次の6つの指標で構成されています。
- 一人あたり営業利益(生産性)
- 一人あたり売上高(生産性)
- 退職平均年数(組織力)
- 実質一人あたり採用コスト(組織力)
- リーダー多面評価結果(リーダーシップ)
- マネジメント教育費用(リーダーシップ)
これらの指標を組み合わせることで、
人材と財務の関係を定量的に把握することができます。
例えば生産性の観点では、
- 一人あたり営業利益
- 一人あたり売上高
を組み合わせて分析することで、企業の生産性のポジションをマトリクスで確認できます。
また組織力の観点では、退職年数や採用コストを見ることで、
組織の状態や人材構造の問題を把握することができます。

分かりやすい指標の一つが「退職平均年数」
SV6指標の中でも、企業の組織状況を比較的分かりやすく示す指標が退職平均年数です。
退職者の勤続年数分布を見ることで、
組織の状態には一定の傾向が見えてきます。
例えば次のような考え方があります。
平均勤続1年未満
→ 組織として成立していない可能性
1〜3年
→ 退職を招く構造的な原因が存在
3〜10年
→ 社内ロールモデル不足やキャリア設計の問題
もちろん、これはあくまでこれはあくまで一つの目安です。
しかし退職年数の分布を見るだけでも、
組織のどこに歪みがあるのかという仮説を立てることができます。
人事制度を議論する際に重要なのは、
制度をどう設計するかよりも、
組織のどこに問題があるのかを把握することです。
人的資本経営に必要なのは「数字で語る人事」
人的資本経営の本質は、
人材を重要な経営資源として扱うことです。
そのためには、人事を
- 経験
- 感覚
- 理念
だけで語るのではなく、
数字で説明できる状態をつくることが重要になります。
SV6指標は、人的資本を財務の視点から整理するための一つの分析フレームです。
企業ごとに状況は異なりますが、これらの指標を継続的に分析することで、人事制度と企業価値の関係をより明確に理解することができます。
当社ではSV6指標を用いた人的資本分析を通じて、
企業の組織状態を数値で可視化し、制度改革や組織改善の支援を行っています。
まとめ:目標管理は成果につなぐためのツール
人事制度が企業価値に与える影響は、短期的には見えにくいものです。
しかし、人事制度は組織の行動を変え、結果として企業の生産性や成長力に影響を与えます。
SV6指標の考え方は次の3点にあります。
- 生産性、組織力、リーダーシップの3つの視点で人的資本を把握すること
- 組織の状態を数値として可視化すること
- 人事制度と企業価値の関係を経営指標として整理すること
人事制度は単なる制度設計ではなく、組織の行動を変えるための経営ツールです。
自社の人的資本がどのような状態にあるのか、SV6指標の観点から一度整理してみてはいかがでしょうか。
制度の見直しや人的資本分析に課題を感じていらっしゃる場合は、ぜひセレクションアンドバリエーション株式会社までお気軽にご相談ください。
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