事業成長のカギとなる「管理職育成」のための実践的ノウハウ | 人事制度設計と人材育成の人事コンサルティング会社 セレクションアンドバリエーション
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事業成長の鍵となる「管理職育成」のための実践的ノウハウ

 

「管理職の強化が必要だと考えているが、予算の取り方に苦戦している」

「管理職に学習を促したいが、具体的に学ばせるポイントがわからない」

人事コンサルティング会社として、このような悩みを聞くことが増えました。また、2020年に猛威を振るったコロナショックの影響で、当初描いていた成長計画を修正していかねばならないという事態から、ご相談を頂くケースも増えております。今回の記事では、人材育成する際に必要な考え方やノウハウ、特に組織の中核を担う「管理職をどう育てるのか?」にフォーカスを当てていきたいと思います。

 

INDEX

  1. 事業計画と人材育成の関連性
  2. 中核となる45歳以上を進化させる2つのポイント
  3. これからの管理職に求める要素と育成方針

 

事業計画と人材育成の関連性

 

そもそも、人材育成は何のために行うのでしょうか。それは他でもなく「事業の成長」のために行うものです。

少しイメージをして頂きたいのですが、例えば皆さんの会社で「新しい事業で成果を出したい」という事業計画が立ったとしましょう。

そのための人材確保の手段として、どのようなアプローチを思い浮かべるでしょうか。

おそらく、次のどちらかのアプローチに集約されるかと思います。

  1. 新事業での成果創出に適した人材の採用
  2. 既存の人材を新事業に向けて教育・育成

ここから言えることは、人材育成はあくまでも事業成長のための「リソースマネジメント」の一環であるということです。

 

 

企業における人材のリソースマネジメントとして、必要なポートフォリオは4つ定義できます。

  1. 経営幹部  :求められる成果は「資本・資産効率を向上すること」です。
  2. マネージャー:求められる成果は「新規ビジネス創出」あるいは「既存ビジネス成長」です。かつ、これらを「周囲に影響力を与え、組織的に実現する」ことが求められます。
  3. プロフェッショナル:求められる成果は「新規ビジネス創出」あるいは「既存ビジネス成長」です。かつ、これらを「高度な専門性を活かし、個人で実現する」ことが求められます。
  4. 新人    :求められる成果は「既存ビジネスを推進すること」です。

 

キャリアステージごとに4つに定義しましたが、求められる成果によって、期待する行動や能力も異なります。このような定義を踏まえつつ、一般的な等級区分との関係性も意識しながら、自社の成長に必要な人材確保を進めることが大切です。

 

 

社内にいなければ外部から採用するのも勿論大事な選択肢です。わかりやすい例だと、上場企業の多くは、毎年一括採用で新卒を採ることで新人を確保します。また、特別な経営スキルを持つような人材は稀有なので、外部労働市場から調達する以外の方法が難しい場合もあります。

しかし、ここ数年で中途採用にかかるコストは増大しました。それは、人材紹介会社やヘッドハンティング会社を中心とした採用に関わるサービスを提供するプレイヤーの増加と、転職があたりまえになったことで外部労働市場に流入する転職希望者の増加が起因していると考えられます。

1人の人材を確保するのに、必要な金銭コストはもちろんのこと、中途採用面接の効果的な仕組みづくりや入社後のフォローなど人材獲得~定着にかかる時間・労力コストも増えたのです。

このようなことを考えた場合、事業成長に必要な人材を「自社で内部調達できる」選択肢を常に持てることが今後ますます必要になると考えられます。

 

では、成長のキーマンとなる人材を内部調達するために必要な予算はどのように設定していくべきでしょうか。

その前提として、「人材教育にかけるお金=投資としての人件費」の発想を持たねばなりません。

例として、メーカー工場の生産設備などはイメージを持ちやすいかと思います。古くて生産能力の低い設備であれば、作れる成果物も知れていますが、設備投資をすることによって新しい設備になり、生産能力が上がります。

すると、作れる成果物も量・質ともに良いものを多く作ることができるようになります。メーカーであれば、結果として売上もより上がるだろうと計画を立てるのです。

ヒトに対しても同じで、教育投資をし能力が向上すれば、投資金額に比例して売上は上がると考えるのです。

 

 

以上のことから導き出せる教育予算算出のための基本公式はこのようになります。

「対売上人件費率×期待売上成長率」

をベースに人件費への対応を計算すればよいのです。これを元に2つの例を見てみます。

1つ目は飲食店を例に挙げます。【人件費率25%、成長率5%】の場合、「人件費の1.25%(売上の約0.3%)」が妥当な基準として考えます。

年収400万円の人材ならば、5万円/年の教育的な追加投資

年収800万円の人材ならば、10万円/年の教育的な追加投資

を妥当な金額として考えていくのです。

 

2つ目は会計事務所を例に挙げます。【人件費率60%、成長率10%】の場合、「人件費の6%(売上の約3.6%)」が妥当な基準として考えます。

年収400万円の人材ならば、24万円/年の教育的な追加投資

年収800万円の人材ならば、48万円/年の教育的な追加投資

を妥当な金額として考えていくのです。

 

上記2つはあくまでも例示ですが、一般的には労働集約型のビジネスのほうが売上に対しての人件費は高い傾向にあります。

つまり、非製造業やサービス業のほうが、教育の費用対効果を考えた際に、人材育成投資を積極的にしていくべきだと考えられるわけです。特に、会社の中でも鍵となる管理職育成にいかに投資を進められるかがポイントとなります。

 

中核となる45歳以上を進化させる2つのポイント

 

上場企業の大半は、管理職の平均年齢が40才を超えています。また、部長級ともなれば50才以上が平均となっている企業も多くあります。

40才を超えて会社で管理職、つまりマネージャーをしているということは、会社の風土や暗黙知も熟知しているはずです。

なぜ、そのような人材を教育し、育成に力を入れる必要があるのでしょうか。そして、なぜ今回管理職の中でも特に「45才」に着目したのか、にはそれぞれ理由があります。

1つ目の「育成の理由」ですが、それは従来型の管理職とこれから必要なマネージャーとで、求められる成果が変化したからです。

これまでは、短期的な業績を達成するためにプレイングをしながら部下の管理をする、いわゆる「プレイングマネージャー」で良かったのですが、VUCAの時代が到来しコロナショックを筆頭とした環境変化によってマネージャーが求められる要素が大きく変化しました。

これからは長期的な目標を達成するために、「マネージャーとしての成果」が求められるのです。だからこそ、教育によってマネージャー自身を改革してもらって、成長させる必要があるのです。

 

 

そのためには、冒頭第1章でも示したように、「既存ビジネスの改善」と「新規ビジネスの創出」を実現するための、インプットとその仕組みが必要なのです。

 

2つ目の「なぜ45才に着目しているか」ですが、今後従業員のキャリアにとって「45才」が一つの大きな分岐点になる可能性が出てきたからです。

2021年9月に、サントリーHDの社長が「45才定年制」の発言をしたことが世間で取り沙汰されました。もちろん現時点では法整備や雇用流動性の確保など、課題は数多くあり近い未来での実現可能性は低いように感じられます。

しかし、45才という年齢を一つの節目として置くことで、社内で不活性化している中堅~シニア人材には変化あるいは代謝を促進する機会にできますし、反対に優秀な人材に対しては50才になることを待たずして、重要なポストにつけて実力を発揮してもらう機会創出にも寄与すると考えられます。

では、45才をマイルストーンに置くために、企業側がしておくべきことを見ていきます。

 

45才以上の事業責任者をタイムリーに輩出するには?

既存ビジネスの収益拡大を考える時、セットで検討されるのが組織力を最大にできる管理職をいかに配置できるかという点です。

しかしよく起こりがちな問題として、「事業責任者クラスの人材が慢性的に不足している」ということがあります。

下が育ってこない、適任がいない、といったことが原因として挙がりがちですが、そもそも仕組みとして「管理職が育ちにくい」環境になっていないかどうかが重要です。

育ちにくい環境になっている原因の一つ目が「場当たり的な管理職昇格」をさせてしまっていることです。

管理職への昇格基準が明確になかったり、基準があっても現場で正しく運用されていなければ計画性なく、管理職を生むことになります。

最も避けたいのは管理職としての成果を発揮せずに「後任不在」を理由に留まられることです。このような状況だと、適切な管理職を据えることは難しくなります。

加えて、管理職になるまでの事前教育も不足しているケースが見受けられます。つまり、管理者として必要なスキルは着任後、現場で慣れながら覚えていきなさいというメッセージになっているのです。すると、どうしても、着任後、早期のタイミングから活躍していくことは難しくなってしまいます。

 

 

 

このような場当たり的な管理職輩出をさけるために注目されているのが、サクセッションプランの導入です。

経営ボードや管理職など、組織における重要なポストの後継者を計画的に育成し、最適なタイミングで配置していくことを目指すものです。

実際に運用する際には、四半期に一度「人事委員会」のような形で、経営層+人事メンバーで会議を行い、育成状況の確認や次期育成対象の選定などを打ち合わせていきます。

事業責任者クラスの実力を持つ管理職を計画的に育て、輩出するための後継者選定や育成プランを練っていきます。

 

 

45才を超えても活躍できるハイレベルプレイヤーとは?

 

マネージャーに求められるもう一つの要素に「イノベーションの実現」があります。

一般的にはマネージャーの役割は、業績目標の達成と部下育成の主には2軸でこれまで思われてきました。そのうえで、「部下が達成できなかった分の仕事を肩代わりする」ことで、プレイングマネージャーという立場を認められてきました。

しかし、「両利きの経営」の時代においては、この発想を転換しなければなりません。

これからのマネージャーは既存ビジネスの収益を確保しながら、「イノベーションのため」のプレイングを積極的に進めるスタイルが求められます。つまり、部下の仕事の肩代わりから脱却した、プレイングを実践していく必要があります。

具体的には、経営計画を理解し今の稼ぎを踏まえて、次はどこに投資を進めていくべきかを率先垂範して示していくことがマネージャーの働きになっていくのです。

 

 

そして、次なる投資に向けてマネージャー自身が新しい情報をアップデートしていき、専門性を発揮できる分野を増やすことは自身の「リスキリング」にもなるのです。

リスキリングとは、今後新たに発生する業務で役立つスキルや知識の習得を目的に学習することですが昨今叫ばれる「人生100年時代」などのキーワードとともに、個人のキャリアを考えるうえで必須の取組とも言われています。

しかし、これまでの話からもわかるように、マネージャー自身が自社の経営計画を理解し、それに合わせたリスキリングを行うことは、これからのプレイングマネージャーとしての目指すべき姿なのです。

 

 

 

ここまで示したように、企業を成長させ長期的な目標を達成するためにはサクセッションプランや、リスキリングによって、あるべき管理職となるための教育の仕組みや学ぶ内容を抑えておかねばなりません。

次の章からは、「インプットすべき学習内容」「学習の進め方」の方針について言及していきたいと思います。

 

これからの管理職に求める要素と育成方針

 

この章では具体的な育成方針についてみていきます。

その前に、「マネジメントができる」とはそもそもどのようなスキルを持っていることなのか、どのような環境を整備しておく必要があるのか、前提を揃えておきたいと思います。

 

マネジメントスキルとは?

 

前章でも示したとおり、「業績目標を達成できる」「部下を管理し育成できる」だけがマネジメントスキルではありません。

組織におけるマネジメントとは「環境変化が変化したときに、組織が生き延び成長するために必要な包括的なスキル」です。

つまり、マネジメントは経営をしていくうえで必須のスキルなのです。

 

 

育成に必要な環境整備とは?

 

マネジメントのスキルの中でも特に重要な要素が「意思決定」です。

経営者を育てていくにあたって、「自ら悩みぬいて決断を下した経験」「ストレスを伴う意思決定の経験」が大きなドライバーとなることは多くの書籍やメディアでも伝えられています。

しかし、独立や起業を経験していない一般の組織人が大きな意思決定を行う機会に立ち会うことは容易なことではありません。

管理職育成に向けて、意思決定を経験させるためには、組織の状況を以下の3つのポイントから現状を見直していきましょう。

  1. 組織構造:担当領域が明確にされているかどうかが1つ目のポイントです。ただし、領域を厳密に定義し、繁文縟礼的な構造にしてしまうと柔軟性が欠けてしまうリスクがありますので、セクショナリズムを考慮した構造設計が必要です。
  2. 役職  :上長と部下の区分が明確かどうかが2つ目のポイントです。この境目が曖昧だと、そもそも誰の意思決定を優先すべきなのかが不明瞭になります。特に起こりがちなのが「●●職補佐」といった役職に対して、周囲が「実質的に何に対する意思決定を持っているかがわからない」等です。
  3. 職務権限:実際に意思決定できる権限を有するかどうかが3つ目のポイントです。役職を与えたとしても実際に意思決定できる権限がなければ意味がありません。権限移譲によって、実際に意思決定をさせ、責任を持たせることがマネジメントスキルを向上させるのです。

 

 

環境整備の視点でもう一つ重要なのが「コミュニケーションプロセスの設計」です。

ゴール達成に向けた意思決定ができたとしても、そのあとに組織における具体的な行動を支援し、必要に応じて修正を加えていく必要があります。支援や修正の際には必ず、コミュニケーションを取ることになります。コミュニケーションの在り方も、ただ一方的に状況を聞いたり、できていないことに対して追加の指示をしたり、詰めたりすることではないことを念頭に置かねばなりません。

マネジメントをする側の意識として、ゴール達成に向けて「現状共有→進捗支援→振り返り→修正」の4つのコミュニケーションプロセスを踏まえて部下と関わっていくことが重要です。

 

 

ここまでの話を一度整理すると、管理職を育成するには以下の視点でチェックすることが必要です。

  1. マネジメントスキルは、経営課題を解決するものだと理解しているか
  2. 意思決定の経験を積ませるための組織体制になっているか
  3. ゴール達成に向けて正しいコミュニケーションプロセスを踏まえているか

 

その上で、実際の昇格や現場での経験を積ませることで管理職を育成していくのです。

 

 

 

そしてもう一つ考えるべきなのは、「具体的にインプットする内容」です。上述の1に関係しますが、「経営課題を解決する」ために必要な知識とは何でしょうか。

挙げればキリはありませんが、少なくとも「管理職に求められる経営方針の理解と部門課題解決の為の施策化」ができるものでなければなりません。

例えば、当社が実施している管理職向けの年間研修プログラムでは、以下の3つを順追って習得できるように実施をしています。

  1. 問題解決の考え方を身につける
  2. 経営の理論と戦略を理解する
  3. 部門課題を特定し、実践に移す

上記のテーマを深堀しながら、連続型の研修として理解と定着を図っています。

研修プログラム自体も、パッケージ内容をお伝えするものではなく、提供先企業のビジネスモデルや業界構造に合わせた内容にカスタマイズし、「実務で使える内容」を提供しています。

 

 

あくまでも、上記は当社の一例紹介ですが、管理職を育成するには計画立てたプログラムをインプットとアウトプットの繰り返しの中で定着させることが必要です。

そして、何度もお伝えするように、「管理職が業績達成と部下の育成」だけをしていればいい、という時代は終わりました。「既存ビジネスの収益拡大」と「イノベーションの実現」の両軸を実践していく人材が必要となるのです。

そのためには、従来のように「待っていても管理職は育つ」ことは困難を極めます。

先手を打ち、自社にとって必要な管理職を育てる環境の整備と併せて、育成のプログラムを検討していかねばなりません。

ぜひ、この記事をきっかけに自社の管理職育成を検討していただければと思います。

当社は、両利きの経営を実現する管理職育成に向けた研修サービスも提供しておりますので、ご相談・ご要望等ございましたら、気軽にご連絡ください。

 

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